航空自衛隊一般幹部候補生飛行要員の三次試験で飛行機を操縦して最終合格し、採用辞退するまでの体験記を書いています。
前回は採用試験中の基地内での生活を書きました。
初フライトを終え、2回目から4回目までのフライトと試験を終えた時の体験記を書いています。
飛行機の操縦ってどんなものなのか知りたい人や、航空学生の採用試験での参考にしたい人はどうぞ。
誓約上、公開可能な写真のみ貼ってあります。機内の写真は公開していません。
再び大空へ
どのフライトも手順は一緒
フライトの手順は初フライトと全く一緒で、
ブリーフィング→搭乗→離陸上昇→試験実施→帰還→デブリーフィング
という流れです。
3回目、4回目になってくると手順もなれてきて気持ちも楽になります。
離陸前でも多少リラックスして乗ることが出来て、試験官の会話も
試験官「もし合格したら何に乗りたいの~?」
僕「F-15に乗りたいです!」
試験官「あれは良い機体だね~。手足のように動いてくれる機体だったわ。」
僕「へぇ~。(おっイーグルドライバーか!)」
なんて会話もしてくれます。
でもパラシュートの話をしたとき
試験官「その時はその時だからね~。わしの同期も3人死んだわ。」
僕「はぁ・・・(まじか)。」
って話をしたときは、ちょっと尻込みしましたね。
初フライトが終わった直後は、正直「もう帰りたい。」と思いましたが、ラストフライトに近づくにつれ名残惜しくなってきました。
だんだん体が慣れてくる
試験を重ねるうちに体もなれてきます。
はじめは心臓バクバクだったとが、ちょっと落ち着いて乗ることができるようになります。
なにより初フライトは受験生でもゲロゲ~ロする人がチラホラいたのに、4回目だと皆ケロッとした顔で帰ってきます。
上空での水平感覚もうまく感じるようになってきて、基準線を意識したフライトが多少なりとも出来るようになります。
学びを生かせるようにする
デブリーフィングで指摘されたことは、次のフライトで活かせるようにします。
試験ですから、試験官も必ず助言をしてくれます。
でないと試験がなりたたんです。
慣れてくると計器にも意識してフライト出来るようになります。
一部の計器は隠され、試験に必要な計器しか見えません。
僕は特にピッチ角の計器をよく見るようにしていました。ピッチ角が正確だと心の余裕が生まれてくるんです。
ラストフライトその後に
アクロバット飛行
ラストフライトのブリーフィングで、試験終了後にアクロバット飛行を行うか試験官が聞いてきます。
これは毎試験でやってるらしく、返事はもちろんイエスでした!
たまに遊覧飛行を希望する人がいるらしく、試験官も「遊びじゃないんだから」なんてぼやいてました。
ラストフライト無事に試験が終わって、アクロバット飛行が始まります。
やったのはループ・バレルロール・上昇失速からのバレルロールで急降下でした。
最後のは急上昇してエネルギーがなくなって失速降下したときに、バレルロールで急降下したもので、降下に転じるときの機動で平衡感覚が完全になくなって一人後席にしがみついてビビってたのを思い出します。
慣れてきたとはいえ、ちょっとふらふらしながら訓練空域での試験を終えて、基地に戻りました。
飛行中の写真撮影※今はだめかな?
基地に戻る際中、自前のデジタルカメラで機内から写真を撮ることが出来ました。
ブリーフィングで撮影したいことを告げて、計器の撮影無しの条件でカメラを持参させてもらえます。
ただし受験生の一人がYouTubeで撮影した動画をアップロードしており、これが原因かどうか知りませんが現在では機内からの撮影は禁止になっているようです。
そしてこの写真は門外不出ということが条件でしたので、ここに貼ることはできません。
思い出として墓まで持っていきます(笑)
終わったら帰宅→後日合格発表
試験終了
終わったらさっさと帰宅。
最寄り駅まで送迎してくれるので、新幹線のチケットをとって帰宅しました。
途中まで受験同期と一緒に乗って、連絡先の交換や春から会えるかを話してました。
合格発表は2か月後ぐらい
僕の時は、合格発表は2か月後の9月ぐらいにありました。
地方協力本部の採用担当の方から電話があって「おめでとうございます。合格です。」と伝えてくれました。
ただ正直迷いましたね~。
行きたい半面、全国転勤になるのと、パイロット枠で入隊しても3割くらいが訓練課程でパイロット候補生から落第して地上勤務に配置換えになるからです。
他にもいろいろとありまして、最終的に採用辞退した話はまた後日させてもらいます。